COLUMN

病気が治ることと、癒えることは同じでしょうか

2026.09.13

少し前から、考えていることがあります。

「病気が治ること」と、
「人が癒えること」は、
同じなのだろうか。

ということです。

たとえば、手術が無事に終わった。

検査の数字も良くなった。

先生からも、

「もう大丈夫ですよ」

と言われた。

それでも、

以前のようには暮らせないことがあります。


病気になる前は、

来年も今と同じ生活をしていると思っていた。

旅行にも行くつもりだった。

家族の世話をするのは、自分の役目だと思っていた。

仕事も続けるつもりだった。

ところが、病気になる。

すると突然、

それまで当たり前だった未来が、

当たり前ではなくなります。


「もう昔の自分じゃない」

そんなふうに感じることもあります。

体が変わった。

できないことが増えた。

薬を飲む生活になった。

人に助けてもらうことが増えた。

病気というのは、

体だけではなく、

自分が思い描いていた人生まで揺らすことがあります。


英語に heal(ヒール) という言葉があります。

日本語では、

「癒す」

と訳されます。

でも、ここでいう「癒し」は、

アロマや温泉のような意味とは、

少し違います。

healという言葉には、

もともと

「全体にする」

という意味につながる歴史があります。

バラバラになったものを、

もう一度つないでいく。

そんなイメージです。


だから私は、

人が癒えるというのは、

病気になる前の自分に戻ることではないのかもしれない

と思っています。

元に戻れないこともあります。

病気が完全には治らないこともあります。

それでも、

「これも自分の人生なんだな」

と思えるようになる。

そして、

「じゃあ、ここからどう生きようか」

と少しずつ考えられるようになる。

それも一つの「癒える」なのではないでしょうか。


病気を受け入れるという言葉も、

私は少し慎重に使いたいと思っています。

受け入れることは、

あきらめることではありません。

無理に前向きになることでもありません。

悲しい日は、

悲しくていい。

悔しい日は、

悔しくてもいい。

それでも少しずつ、

今の自分と、

これからの自分を、

つないでいく。

そんな時間があってもいいのだと思います。


この「ここから」では、

病気を防ぐ方法や、

健康になる方法だけではなく、

病気になったあとも、
自分の人生を生きていくこと

について、

少しずつ一緒に考えていけたらと思っています。

答えを出すというより、

一緒に考える場所です。


最後に、一つだけ。

みなさんには、

「昔の自分とは少し変わったな」

と思うことはありますか。

そして、

変わった今の自分に、

どんな言葉をかけてあげたいでしょうか。

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